まきおおどう
参拝日:2022年2月15日
納経料:各300円(直書)
授与所:寺務所
現在、真木大堂の名で知られる馬城山伝乗寺(まきさんでんじょうじ)は、大分県豊後高田市田染真木にあり、国東半島に点在する天台宗の寺院と同様に、八幡神の化身であるとされる仁聞菩薩により養老2年(718年)に開基されたと伝えられています。
当時は六郷満山65ヶ寺のうち本山本寺8ヶ寺のひとつとして36坊を有した六郷満山最大の寺院として、僧達が修行に励む長講所であったと伝えられています。
江戸時代の建物である本堂とは別に、昭和40年代に新造された収蔵庫内には、平安から中世にかけて花開いた六郷満山文化の栄華を色濃く残す本尊阿弥陀如来坐像、不動明王立像、大威徳明王像、二童子立像、四天王立像の9体の平安仏が残されています。
(公式サイトより)
大分交通の定期観光バスで立寄り拝観。
真木大堂は、六郷満山65ヶ寺の中、本山本寺として最大寺院であった馬城山伝乗寺。
<六郷満山(ろくごうまんざん)>
平安時代から中世にかけて半島に来縄(くなわ)、田染(たしぶ)、安岐(あき)、武蔵(むさし)、国東(くにさき)、伊美(いみ)の6つの郷が開け、山あいには天台宗と結び付いた65ヶ寺の寺院の総称。
その手前で拝観料(300円)を払い境内へ。
(御朱印帳は、入口で預けておきます)
境内に入り右側には、旧本堂があります。
こちらでは、木造の仁王像(阿形/吽形)を見ることができます。
○阿形(あぎょう)・ 写真右
像高225cm。筋骨隆々の忿怒相。阿は口を開けて最初に発する音で宇宙の始まりを表すとも言われています。吽と合わせて万物の根源を象徴するものです。
○吽形(うんぎょう) ・写真左
像高240cm。吽は口を閉じて出す最後の音です。阿は息を吐くこと、吽は息を吸うこととの考え方もあり、二人が行動や気持ちを合わせる「あうんの呼吸」の語源になったとも言われています。
<旧本堂>
永い間仏像を安置してあった真木大堂旧堂で江戸時代のものとされています。本尊他仏像は収蔵庫に移されていますが、正面には国東半島では極めて珍しい木造の仁王像が今もお堂をお守りしています。 仁王像の肩越しの朱塗りの扉には皇室の御紋章があります。これは、今から約700年前六郷満山寺院に対して鎌倉幕府から蒙古来襲の折に異国降伏の祈祷を行うよう指示があり、国難を救うため馬城山伝乗寺では長期にわたり異国降伏の大祈祷が行われました。 そのおかげをもち元を退けた恩賞として弘安8年10月16日に将軍家を経て朝廷より菊花の紋章が下賜されたと伝えられます。
旧本堂の裏には古代公園があり、石像文化財が残されています。
<古代公園>
国東半島には六郷満山文化の遺産として国東塔、宝筐印塔(ほうきょういんとう)、庚申塔(こうしんとう)、五輪塔、板碑、石仏等多くの石造文化財が残されています。これらの文化財は半島全域の寺院や山岳地に散在している為手軽に観賞する事が出来ないので主に市内田染や河内の方々のご協力により真木大堂内の園地に遷仏しています。
時間の関係上行けませんでした。
中腹あたりに小さな鳥居と、その右手には六所権現があり、さらに椿が並ぶ道を抜け、再び険しい山道を登った頂上には左右に狛犬が守る金比羅宮が祀られているようです。
境内を見学した後、収蔵庫へ。
こちらでは、旧本堂から移された9体の仏像が安置されています。
本尊阿弥陀如来坐像をはじめ木彫り日本一の不動明王立像、日本一の大威徳明王像他すべての仏像が国の重要文化財に指定されています。
庫内は非常に狭く見学する奥行きが広く無く、全体はそれぞれの前で見ます。
※庫内の撮影は禁止
撮影禁止のため、写真は公式サイトより借用。
■木造阿弥陀如来坐像及び木造四天王立像
真木大堂の本尊である阿弥陀如来は西方浄土の主尊であり、極楽へ導いてくれる仏とされています。仏像が作られた平安時代は日本全土に末法思想が広がり、中央の有力貴族たちをはじめ人々は極楽に行けるようにと願い、信仰の対象として各地で阿弥陀如来が作られました。
像高216cm。丈六の坐像で檜(ひのき)材の寄木造り。左手を膝に置き右手を肘から曲げた来迎印(らいごういん)をとっています。彩色は前面に布張りの下地を施し、肉身に漆箔、螺髪に群青、衣に朱色がみとめられます。現在も随所に金箔の跡が確認できます。彫りが浅く、流麗な衣文(えもん)には11世紀後半の定朝様式がみとめられますが、肩幅広く厚みある体躯、やや面長できりりと結んだ唇などには定朝以前の古い様式もみられます。
【国指定重要文化財】
持国天
像高161cm。文字通り「国を支える」守護神として東方に立ちます。顔を左下方にうつむかせ、腰を右にひねって胸前の両手で持物を握ります。
増長天
像高158cm。サンスクリット語では「増長、増大した者」とされる五穀豊穣を司る守護神で南方に立ちます。顔を右下方に向け、左手を大きく振り上げて持物を握ります。
広目天
像高166cm。「尋常でない、特殊な眼(=千里眼)を持つ」守護神で西方に立ちます。冑をかぶらず結髪し、炎髪を立てて正面を向き、右手を上げて持物を握ります。
多聞天
像高162cm。「数多くの説法を聞く」守護神で北方に立ちます。独尊で祀られることも多く、その場合は“毘沙門天”と名を変えます。日本独自の信仰では七福神 の中の一体であり、財宝・蓄財の神とされています。顔をやや左下方に向け、腰をひねり、左手掌にのせた持物をにらみます。
【いずれも国指定重要文化財】
大日如来の名を受けて魔軍を撃退し、災害悪毒を除き、煩悩を断ち切り、行者を守り、諸願を満足させる不動明王が中心に立ち、両脇を矜羯羅(こんがら)、制吒迦(せいたか)の二童子を従えた三尊形式で祀られています。この形は不動三尊と呼ばれ国東半島では典型的な様式とされていますが、不動明王の大きさに比べて二童子の造りが極端に小さいのが真木大堂の特徴とも言えます。
【いずれも国指定重要文化財】
像高255cmで榧の寄木
造り。頭髪は巻髪で弁髪を左肩に垂らし、右眼を上、左眼を下に向けた天地眼と唇から上下に出した牙は忿怒相を表しています。右手に利剣を持ち、左手には分銅のついた羂索(けんさく)を執り、背後に勇壮な迦楼羅焔(かるらえん)を背負い岩坐に立ちます。迦楼羅は金色の翼を持つ想像上の大鳥で、口から火を吐き、竜を好んで食べるとされています。木彫不動としては日本一の大きさとも言われています。
【国指定重要文化財】
制咜󠄀迦(せいたか)童子
像高130cmで檜材の寄木造り。口を引き結び眼を伏せた厳しい表情で、こん棒を持った右手に左手を添えています。
矜羯羅(こんがら)童子
像高127cmで檜材の寄木造り。正面を向き、眼を見開いて合掌するやさしい姿です。
【いずれも国指定重要文化財】
像高241cm。本地は阿弥陀如来で、西方を守護して、人々を害する毒蛇・悪竜や怨敵を制服する明王で、六面六臂六足の忿怒相(ふんぬそう)で、中央の手は中指を立てて合わせる檀陀印(だんだいん)を結び、神の使いである白い水牛に跨っています。梵名の“ヤマーンタカ”は死の神ヤマ(=閻魔)をも倒す意味であり“降閻魔尊”との呼び名もあります。古くより戦勝祈願の本尊として信仰されており、その名が示す通り大いなる威徳を持つ明王とされています。頭、体の主要部分は樟材、手足部は檜材で造られており、大威徳明王としては国内最大のものとなります。平安の華やかな国東半島の仏教文化を象徴する仏像です。
【国指定重要文化財】
こちらでは、三種類の御朱印がありました。
◆阿弥陀如来
”阿弥陀如来”の揮毫に、梵字「キリーク」の火焔梵字印
◆不動尊
”真木不動尊”の揮毫に、梵字「カーン」の火焔梵字印
◆大威徳明王
”大威徳明王”の揮毫に、梵字「キリーク」の火焔梵字印